今月の Steam には、「こんなおもしろそうなゲームが一体どこから出てきたのか！？」と叫びたくなるようなインディー・タイトルが少なくない。
まずは、伏兵のごとく発売日が発表された『Diaries of a Spaceport Janitor』（Sundae Month）。『ある宇宙港用務員の日記』とでも訳すだろうか。
Diaries of a Spaceport Janitor - Trailer
「ザブランズ・ロック」（Xabran's Rock）という惑星の港のバザールでゴミ収集の仕事をしながら、いつか星を出ることを夢見る女の子を主人公とした、クリエイター曰く「アンチ・アドベンチャー」。アート・スタイルとサントラの醸し出す雰囲気に一発で魅了されてしまった。ただ、個人的には、半年前に出ていたらしい下の告知映像のほうが、いっそう謎めいていて好きかも。
Diaries of a Spaceport Janitor - Teaser
情報に疎かったのか、私は存在を知ったばかりなのだが、検索すると、告知映像の時点での日本語記事を見つけたので、重複しそうな詳細はそちらに譲ろう。
主人公は、“Alaensee”という種族の、青い肌・赤い目・尖がった耳の女の子で、すでに愛らしいファン・アートも登場している。彼女を呪って（？）付きまとう、という浮遊するガイコツから連想したわけではないが、『Undertale』ファンにもウケるのでは？
公式の紹介文からの抜粋：
アンチ・アドベンチャーに乗り出そう！ 君の単調でうんざりずる仕事の人生とワクワクするクエストやパワフルなヒーローたちの文化とのあいだの妥協点を見つけるんだ！ ひょっとするとザブランズ・ロックを出る方法を、ついに見つけることができるかも！
Steam 及び itch.io にて9月16日に発売予定。日本語未対応。
なお、同スタジオは、10月に『Dad Quest』の Early Access も開始予定。軽快なチップチューンが気になる。
Dad Quest - Greenlight Trailer
どうでもいいけど、Steamで“Dad”（パパ）とだけ検索すると、『Octodad』『Shower With Your Dad Simulator 2015』『Who's Your Daddy?』と、若干すでに懐かしい（？）パパ・ゲーム群がずらりと顔を揃える。“Mom”（ママ）では同じような結果は得られない。
ネタバレの都合上タイトルを言えないアレから、『The Last of Us』、『ゴッド・オブ・ウォー』新作まで、いわゆるAAAタイトルにおける父親主人公の増殖が「ビデオゲームの父親化（Dadification）」と批評・揶揄されて久しいが、インディー・ゲームにおけるパパの増殖は、どちらかというと、親子的な関係を「シリアスな」「大人びた」テーマと思わせたがる発想そのものを笑っているようなところがあって、見事に好対照を示している。
以上、脱線。
次に、打って変わって、冷たく、スリリングな宇宙が舞台のSFアドベンチャー『Event[0]』（Ocelot Society）。
Event[0] - Announcement Trailer 2016
遭難した宇宙飛行士が、帰還するために映画『2001年宇宙の旅』のHALを思わせる AI に助けを借りようとする、とのあらすじだが、AI に回答を求める際、選択式などではなく、実際に質問を打ち込むことが要求され、3D空間の一人称探索とテキスト・アドベンチャー的要素とを組み合わせた作りになっているのが特徴。
つい先日、『エイリアン・アイソレーション』のデザイナーによるホラー・ゲーム『The House Abandon』を紹介したが、往年のジャンルそのままのスタイルに限定せずに考えた場合、テキスト・アドベンチャーというのは、実に可能性が豊富なジャンルのように思える。言語の壁が高くなるが、SF要素のある一人称アドベンチャーが好きな方なら、購入せずとも、チェックしておく価値ありかと。
Steam にて9月15日に発売予定。日本語未対応。
そして、最後に、『ツイン・ピークス』っぽいと話題のミステリー『Virginia』（Variable State）。
先日、15分のデモについて雑感を述べたばかりなので、とくに加えることはないが、私のなかでは今年一番の注目作。
Steam にて9月23日に発売予定。日本語対応。
いずれも現時点では価格が不明だが、私は三つとも購入予定なので、時間が許せばレビューなどしていければ、と思う。
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